君をずっとずっと探してた

別に好きでもなんでもない人がいた。声をかけられて、嫌いじゃないしって理由で連絡を取り合った。相手がどういう気持ちで、どういう理由であたしに近づくのかがいつまでたってもわからなくて。お互いがお互いの気持ちと行動の探り合いをしてるのが目に見えるようにわかって物凄く悲しかった。自分で気付かないふりをしてたけど、あたしはきっとその人のことが好きになってた。すごくすごく淋しくて辛かった時期に一緒にいてくれたせいなのかもしれない。弱い部分をうまくつかれただけかもしれない。だけど毎日その人のことを考えてるあたしがいた。一緒にいるうちにだんだん相手のことがわかってきた。純粋にあたしを想ってくれてるわけじゃなくて別に目的があるんだ、と思った。悲しかった。だから連絡を絶って、あたしから離れた。好きだからこそ距離を置いた。これ以上傷つきたくなかったから。だけどやっぱり後悔してた。あたしの距離の置き方はその人をすごく傷つけるやり方だった。あの時のあたしはなんでこの方法しか思い浮かばなかったんだろう…って今になって思う。もう口を利くことはないけれど、姿だけでも見れた日にはやっぱり気になって目で追ってしまう自分がいた。
直接あたしの気持ちを伝えることはできないし、しちゃいけないことだってわかってた。だから、伝えるんじゃなくて、あたしの勝手な独り言だったら許されるだろうと思って、気持ちを綴った。その人には99%伝わらない、伝わるわけがないけれど、自分の本当の気持ちを自分だけにわかる言葉で綴った。それだけで、ずいぶんと気が楽になった。だけど、その人はあたしが思っていた以上にあたしのことを知っていてくれていたようで。見つかるわけがない、あたしにしかわからないその人宛の文章をすぐに見つけてくれた。びっくりした。まさかわかるわけがないと思っていたのに。見つからないように、だけどいつか、いつか奇跡が起きてその人に伝わればいいな、くらいにしか思ってなかったのに。
その人はあたしの言葉を見つけて、理解して、そして許してくれました。泣いて縋ったって、土下座したって許してもらえないと思っていたのに、むしろ「苦しめてごめんな。」って。謝らないといけないのはあたしのほうなのに。その人は、あたしが思っていた以上に広くて強くて優しい人でした。そんな素敵な人を自ら突き放した自分自身を、心底殺してやりたいと思いました。