眠れない

あたしの伝えたかったことを察して許してくれたその人にたいしてあたしはどうすればいいんだろう。できることならもう一度その手に触れたい。自ら手を離してしまった後に気付いてしまった、その人の手の大きさと優しさと暖かさ。一線を引いてそこから足を一歩踏み出さないように、お互いがお互いの状況を知ろうとしてる。結局近づきたくてもある一定のラインから歩み寄れないところは昔も今も変わっていない。きっとあたしが飛び込んでいけばその人はきっと受け入れてくれるんだろうと思う。だけど、それだけは絶対にしてはいけないことだというのは、いくら頭の弱いあたしにだってわかること。大事なものはいつも失ってから気付く人間の愚かさは、これからも永遠に続いていくんだろうか。その人が今までにくれた言葉のひとつひとつを思い返して、そのひとつひとつにずいぶんと救われてきたんだと気付いた。その人を想って、眠れない日々が続く。