返してもらう

だって、あたしの人生はあたしのものだから。
「我慢することが解決じゃないよ」って、大好きな友達に言われた。びっくりした。だって、我慢=解決だと思って今まで20年以上生きてきたんだから。自分さえ我慢すれば特別問題が起きることなんてないし、時がたてばまた日常が再開される。
正直、先月末頃からの両親の行動を見ていて、ほんとに諦めてた。兵庫県南東部の田舎で、この両親の元に3人兄姉の末っ子として生まれて、両親の望む学校へ進学して、20歳をすぎても、一般企業に正社員として働いていても、ずっとずっと鎖に繋がれた生活から逃れることはできない。それが“あたし”っていう人間の、決められた人生なんだなって。神様が決めた運命なんだなって。だったらもう諦めて、あたしの人生両親にあげて、来世に期待するかーって。だけど、だけど、あるかどうかもわからない来世に期待なんてできなかった。諦めたくない。もうこんな生活したくない。大事に大事に腰まで伸ばしてた髪の毛を無理矢理ばっさり切られて、免許証も保険証もクレジットカードも銀行の通帳もキャッシュカードも印鑑も全部両親に取り上げられてて、携帯すら親の名義で持たされていて、前にも後ろにも身動きが取れない状況で気力を失って2年経った。1年の“約束”だったのに2年経ってる。もちろん、終わりなんて見えてない。何十回も何百回も裏切られてきたのに、それでも両親の「1年間」の言葉をほいほいと信じた自分がバカだっただけの話だ。結局は何も持たない状況で家を飛び出したって、お金も身分証もないのにやっていけるわけがないと、現実の壁に圧倒されて体当たりする勇気がなかっただけの話だ。
もしかしたら両親が死ぬまで一生鎖で繋がれたままかもしれないのに「来年こそ解放されるかもしれない」なんて淡い希望を持って今の生活を続けるのと、今あるものを全部捨ててリセットして、身ひとつで一から自分の望む人生を追うのと…どっちが自分にとっていいんだろうって考え続けた。このことは、何も今回初めて考えたわけじゃない。何年も前から何回も何回も考えては前者を選んできた。あたしの人生だよ。両親のものじゃない。生んでくれた恩も育ててくれた恩もちゃんとある。だけど、だからといって、子どもの人生思い通りにしていいなんてルール、この世にはないよ。